都心部に住む子どもたちが、土に触れたり、植物や作物を育てるのは、少しハードルが高い。
もちろんプランターを用いて、学校の限られたスペースや、自宅のベランダで育てることは可能だ。
しかし、育てられるものは限定され、作物を育てて収穫をする難しさや楽しさを知ることに限界がある。
そこで新しく生まれたサービスが、株式会社ファームフェスの小学校向けの農場教育サービス『小学校ファーム』だ。
『小学校ファーム』は、近隣に広い農地のない東京都内の小学校が、FARMFESを利用して、郊外の農園に学校の名前をつけて、擬似的に農地を所有できるサービス。
学校ごとにFARMFESが特設ウェブページを提供。児童は、特設ページを通じて、農作物が育つ様子を観察したり、コメント機能から、農場を管理する農家とコミュニケーションをとることができる。
また、リアルな体験の場として、農場に行くことも可能だ。農場では毎月一回、農場解放日を設定し、児童が保護者と一緒に、実際に現地に行って農産物の世話をしたり、育つ様子を観察することもできる。
このサービスの利点は、単に収穫をしたり、種まきをするだけの農業体験学習とは異なり、児童が自ら種まきをした野菜の成長記録を毎月ウェブ上で確認ができることにある。
種まきから収穫までのストーリーを継続して体験できるよう、ウェブ上では農家から「食」に関連する動画などのコンテンツ配信も行う。
この『小学校ファーム』は、都会の子どもたちの農業理解を深め、普段あまり触れることのない土、そして農家と実際に触れ合うことで、農作物への理解、生産者への感謝の気持ちを育んでもらい、農業に対するイメージの向上や、”食”に対する関心度を高め、より豊かで明るい”食の未来”を創って欲しいという想いから、FARMFESが提供を開始したものだ。
そして今回、山梨県北杜市の井上農場内に2017年7月、目黒区立小学校の『小学校ファーム』を設立。同年10月より、目黒区立小学校の専用WEBサービス『小学校ファーム通信』の提供を開始した。
都心に住まう人たちは、大人だけでなく「子ども」も、農から知らず知らずのうちに距離が生まれている。
小学校ファームというサービスが、「新しい食育」の提供につながるとともに、地域への訪問や地元農家など受け入れ先とのコミュニケーションを促進させる働きも担うことに期待したい。