2017年5月26日(金)に行われた、PREMIUM FARM DAY。
「農」に対する考え⽅や取り組みが多様化する今を踏まえた上で、これからの「農」はどう変わっていくか。
イベント内で行われたトークセッションでは、モデレーターにMODOC 上野アキト⽒。⼤和ハウス⼯業にて、農業事業を⼿掛ける、吉村守⽒。やかまし村村⻑の遠⼭ひろし⽒の3名を迎え、現在の「農」と未来の「農」について、トークを繰り広げました。
今日は、トークセッションの後編をお届けします。
※前編はこちら
上野:
今出た「アーバンファーマー」という⾔葉は、今回のプロジェクトで⽣まれた⾔葉なんですけれども、要は都市部にいながらも農に触れる⼈たちをアーバンファーマーと定義しています。
農というものが具体的に都市部の⼈たちが関わることによってどんなものになったのか、具体的にこれからどんなことになっているのか。というのをお⼆⼈が関わっているプロジェクトも踏まえて、今の農のトレンドであったり、新しい技術であったり、都市部に住んでる⼈の農とは何ぞや?ということを伺いたいなと思うんですけど、吉村さんいかがでしょう。
吉村:
私は先ほども⾔いましたように、植物⼯場というのを仕事でやっています。
これは技術の話になるんですが、皆さんが先ほど収穫されたトマトハウスも実は、⽔耕栽培です。これは溶液を点滴のようにコントロールしながら、流しながら育てています。まさにIT、IoT という技術ですね。
KDDI さんたちがそういうネットワークを司っているのですが、我々もこの技術を使うことはできますので、これを活⽤して、機能性野菜というジャンルを⽣み出しています。
上野:
すみません、質問してもいいですか?機能性野菜とはなんでしょうか。
吉村:
例えば⼥性の⼈が⽴ち上がってふらふらして貧⾎になったら、鉄分⾜りないね、となってサプリメントを飲む。そうではなくて、例えば「ほうれん草」が鉄分多いんですけれど、普通のサラダの中にそういう機能を含めることができる仕組みです。
そういうものを機能性野菜と呼んでいます。今は低カリウムレタスなど逆にカリウムを減らしたレタスもあります。これは普通のレタスだとカリウムが多すぎて⾷べられない、そういう病気の⼈に向いているんですね。
⼥性で⾔えば鉄分、男性で⾔えば亜鉛だとか。そういうのものをシリーズで作っています。
⼈⼯的な進化した野菜と考えてほしい。⽇常とはちょっと違う意味合いの機能性野菜。遺伝⼦組み換えの野菜でも同じですね。
上野:
ありがとうございます。セロリを⾷べなさい、にんじんを⾷べなさいというところに、「機能性野菜を⾷べなさい」、というフレーズが⼊ってきたりするんですね。
それでは最後に、現在の農のトレンドを担ったりだとか、こんな感じで農と関わっているところがあれば是⾮教えていただきたいなと思います。
遠⼭:
⼆つあるんですけど。⼀つは⽣き⽅なんですけど…農的な⽣き⽅の再結集をしていると思います。簡単に⾔うと、やっぱりみんなでこうやってトマトを収穫して、焼いて、楽しんで⾷べるって豊かな暮らしだと思うんですよ。
それって今の東京の暮らしではなかなかないです。
でも60年、70年前の⼈たちは、普通にしていたことで。そういった、なくなりつつあるものを、もう⼀度私たちの世代が取り戻そうという動きがあるんじゃないかと思います。
上野:
これでこのトークセッションは終わりじゃないかと思うくらい素晴らしくまとめていただいたんですけど、まだ続きますよ。
でも確かにおっしゃる通りだと思います。実際にアーバンファーマーという⽴ち位置の⽅々にこれからどんな可能性があるか。今「取り戻す」というお話があったと思うんですけど、新しいアーバンファーマーとして改めて⼈と⼈との繋がりを取り戻したとして。
そこからアーバンファーマーの新しい⾏き先。例えばどんなふうに、アーバンファーマーが新しい農に関わっていけるのかなみたいなところを是⾮伺いたいなと思います。
吉村:
私は1 ⽇の⾷事を美味しく⾷べて、次の⽇元気に働く。でちょっとだけ働いたら次は元気に遊ぶと。
そういう感覚を⼤切に、冷凍⾷品やコンビニの⾷品ではなくて、⾃分が関わったものを⾷したい。元気に、⻑⽣きという⾔葉はまだみんなには関係ないかも知れませんが、元気に暮らしたい。元気に楽しみたい。それをみんなが共有できるための「農」だと思っています。
遠⼭:
僕も同じことを思ってまして。やはり誰かが作った、お⾦で買えるものは飽きた。消費じゃなくて、⾃分たちで⽣産できるものを⽣み出すことの⽅が⼤事だと思います。
例えばなんですけど、みんなもっと地域に移住して、たとえばこどもが産まれたら保育は⾃分たちでつくる。⾃分たちで教えあう。おじいちゃんになったら⾃分たちで⽼⼈ホームを作って運営する。そういうクリエイティブが増えていけばいいなと思っています。
上野:
お⼆⼈ともありがとうございます。⾃分は広告の仕事がメインでやっていまして、昨今では広告のやり⽅も随分と変わってきているんです。
モノがいかに凄いかというよりも、そのモノを使って⾃分が何をするのか。⾃分の中にあるストーリーを⼤事にするメッセージのほうが⾮常に伝わりやすいなという世の中になってきていると思っています。
なので、⾃分がつくったもの、⾃分が触れたものが最終的に⾃分の中に⼊ってくるということをやはり意識することが、より⼤事になってくるのではないか。新しい価値が⽣まれるんじゃないかな、ということを⼆⼈のお話を聞いて思った次第です。
このアーバンファーマーという概念に関してはまだこれから⽴ち上がったばかりなので、これからどういった形になるかというのがまだまだ分からないところがありますが、この「アーバンファーマー」という⼈たちの⽣き⽅や取り組みを⾯⽩いと思う⼈たちが増えることが、農を盛り上げていくことにつながるのだろうと思いました。
本⽇はありがとうございました。