2017年5月26日(金)に行われた、PREMIUM FARM DAY。
「農」に対する考え⽅や取り組みが多様化する今を踏まえた上で、これからの「農」はどう変わっていくか。

 

イベント内で行われたトークセッションでは、モデレーターにMODOC 上野アキト⽒。⼤和ハウス⼯業にて、農業事業を⼿掛ける、吉村守⽒。やかまし村村⻑の遠⼭ひろし⽒の3名を迎え、現在の「農」と未来の「農」について、トークを繰り広げました。

 

今日は、その模様を2回に渡り、トークセッションの内容をお届けします。

 


 

生活の中に「農」を取り入れるということ

上野アキト(以下、上野):
みなさん、こんばんは。普段僕は、テレビコマーシャルやMV をつくる映像監督を仕事にしています。
何かを作って⼈にモノ伝えるということを突き詰めていった結果、今回のFARM PARK PROJECT のようなイベントやプロジェクトに関わっていくことが、⼤きなメッセージを伝える道具になるのではないかと思い参加させていただきました。改めて、よろしくお願いします。

まず⼀つ⽬のテーマ「今とこれからの農のあるべき姿を考える」。
いきなりこれ重いなと思いつつ、結論を出していきたいと思います。ではさっそく農に対する考え⽅・取り組みがどんどん多様化している今、これからの農・そもそも農について、お⼆⼈の考えを伺いたいと思います。それでは、ダイワハウス⼯業株式会社の吉村さんとやかまし村村⻑の遠⼭さん、⾃⼰紹介お願いします。

 

吉村守(以下、吉村):
ダイワハウスの吉村といいます。⼤阪から朝⼀番の電⾞できました。私⾃⾝は百姓のせがれで、実家は200 年以上農業をやっていました。
私はサラリーマンなんで、家に畑を作り⾊々な野菜を作って楽しんでいます。

ダイワハウスは住宅・アパートを作っていますが、新しい事業として農に関わることをやろうということで今の事業部におります。今⽇は会場に着いてから今まで、⾮常に⾯⽩く楽しませてもらっています。

 

上野:
ありがとうございます。ダイワハウスさんと⾔うとどうしても家というイメージが強いので、⼀体どういうところで「農」との関わりがあるのか、これから伺わせていただきたいと思います。
それでは次に遠⼭さんに⾃⼰紹介をお願いしたいんですが、「やかまし村村⻑」…これはどういうことでしょう?説明お願いします。

 

遠⼭ひろし(以下、遠⼭):
やかまし村村⻑の遠⼭ひろしです。やかまし村ってご存知ですか?「やかまし村のこどもたち」という映画からきています。筑波⼭のふもとで農園をやっていまして、鶏30 ⽻、豚30 頭、野菜60 品⽬とお⽶を育てている農園を舞台に、1 泊2 ⽇で農的な暮らしをして帰るというのをやっているのがやかまし村というイベントであり、村です。2006 年から活動しているのでちょうど10 年たちました。活動はここで⾔うところの「アーバンファーマー」なので、単なる農体験ではなく、都会的でアーバンな、仮装してハロウィン収穫祭や、ビーチバレーを⽔⽥でやることをしています。「無理なく楽しく暮らしに農を」というテーマで20-30 代のメンバーで10 年くらい続けています。

 

 

上野:
吉村さんは⼤和ハウス⼯業さんに勤められていて、サラリーマンをやられている。遠⼭さんも⾮常にカジュアルにアーバンファーマーな農の楽しみ⽅をしている。
「農」というと、農作物を作って、作ったものを出荷して暮らしていく。そういったイメージがあったと思うんですが、お⼆⼈のように都市に住みながら普段の⽣活の中に農業、もしくは農を取り⼊れて楽しむ⽅が増えているんじゃないかな、感じています。いかがでしょうか?

 

吉村:
私は⽉から⾦はサラリーマンで、家の中で野菜を育てる仕組みを販売しています。⼟⽇は畑で耕しているだけでなく、⼭にいってシイタケを取ったり、船に乗って⿂釣りをして、時にはいま狩猟免許をとっているところなので、まもなくみなさんのところにイノシシをお届けすることもできるかと(笑)。こんな感じに、⽣活の中に「農」を取り⼊れています。

 

上野:
ありがとうございます。⽣活の中に農を取り⼊れるという話ですが、吉村さんはダイワハウスで働く中で「アグリキューブ」という、家庭⽤の⽔耕栽培キットを扱っていると聞いたのですが、アグリキューブとはそもそも何なんでしょうか。

 

吉村:
そうですね、昭和30 年に会社が出来たときには、いわゆる家をつくること以外に、⼦供たちの勉強部屋とか学校の仮設校舎をつくっていたんです。その伝統技術を使って作ったのが「植物⼯場ユニットアグリキューブ」なんです。
今は、学校だとか⼤学院だとかあるいは障がい者施設などで、採れたての野菜を提供したいということで、活⽤いただいたりしています。今横にありますKDDI さんの「野菜物語」もその中の⼀つです。
ご⼀緒しながら家庭の中で楽しんでもらおうということを北関東からはじめていっています。

 

 

上野:
家庭の中でそういった植物を育てる環境をつくることには、そもそもどういった意味があるんでしょうか。

 

吉村:
私どもは家とか空間を提供してきました。その空間のキーワードが健康なんですね。健康な空間をご提供する中に「⾐⾷住」というテーマがあり、住を基盤に、⾝体の中から健康になるような⾷の健康、ビジネスを展開していけたらと。汗をかきながら、頭をつかいながら、⾃分で栽培しながら⾃分の⾷べているものがどんなふうにできているのか、どうしたら安全なのか考えてもらおうと思っています。

 

上野:
ありがとうございます。⾮常に⾯⽩いお話だと思います。実際に今、そちらのテントの下に⼩型のアグリキューブがありますね。家庭で野菜をつくることができる「アグリキューブ」が実際に展⽰されておりますので、実際に⾒ていただいて、吉村さんがいらっしゃいましたら捕まえて、お話を聞いていただければなと思います。では同じようにライフスタイルの中に農を取りこんで楽しんでいるという、遠⼭さんのお話も伺っていきたいと思います。

 

 

遠⼭:
今の吉村さんの話の「家庭の中に農を」ってほんとに僕もそう思っていまして。僕がそう思うきっかけになったのは⼆つあるんです。

⼀つはみんなでシェアハウスをしてるんですけど、農場で出会ったんです。この出会いがきっかけに、東京でシェアハウスをしています。みんなで庭を借りて畑にしたり、農場から鶏を4 ⽻連れてきてみんなで毎朝鶏を育てて卵をとってご飯を作たり、毎週農場から野菜が送られてくるのでその野菜を使ってみんなでご飯を作ったりしています。やっぱり毎週末に農場に⾏ってそこでの豊かな暮らしも良いと思うのですが、⽇常と週末の⾮⽇常の楽しみ⽅のギャップが良くて。

 

今、そんな暮らしをしてる⼈ってどんな⼈なんだろうと考えたんですが、最近は本当にクリエイティブな⼈が多いですね。まさにアーバンファーマー。僕もそうなんですけど、毎晩毎晩夜12 時くらいまで働いてですね、そのあとクラブで踊ってたりだとかして、疲れ果てて年に数回しか休めない⼈たちが癒しを求めてみたいな…。
それに違和感を覚えてクリエイティブに⽣きたい⼈が増えているんじゃないかと。

 

......後半に続く。