- 農業男子 vol.1 -
クールなお洒落へべス農家。
時折見せる無邪気な笑顔に、きゅん。編(その1)


 

宮崎県日向市。
宮崎県の北東部に位置する快晴日数、日照時間が全国トップクラスな温暖なところ。
そこに県の特産品、へべス作りに励む農業男子がいる。
宮崎駅から車を走らせることおよそ1時間半。
緑まぶしいへべス畑で、その農業男子に出会った。

 

「ここまで遠かったんじゃないですか?」
そう話しながら優しく微笑む黒木さんに、思わず、萌え
( *´艸`)
へべスをはじめ、ミニトマトやズッキーニの栽培をしながら
去年古民家を改装し、念願だったカフェをオープンさせた。
農作業にカフェの経営と、精力的に活動する黒木さんに今の気持ちを聞いた。

 

 

 

 

◆“農家にだけはならない!”その想いを大きく変えた、運命の出会い。


黒木園芸10代目の、黒木洋人さん。
クールな雰囲気に、強い意志を感じるまなざし。
時折見せる優しい笑顔にギャップ萌えする、農業男子だ。


 

「写真、そんなに撮られなれてないので・・・照れますね」
そう言って照れくさそうに笑う黒木さんにシャッターを切る手が止まらない(∩´∀`)∩

 

――――元々、農家になろう!と決めていたんですか?
「いやいや。小さい頃から“お前は10代目だからな”って言われ続けて。それが嫌で絶対農業はしないぞって決めていました(笑)」

 

その決意は固いままに
地元の高校を卒業してからは宮崎を離れ、大阪で建築の仕事をしたり福岡でリサイクルショップの店長をしたりと農業とは無縁の生活を送っていた。

 

そんな黒木さんに転機が訪れたのは20歳の時。
滋賀県にある種苗会社が運営する農業専門学校との出会いだった。

 

「いつかは地元に帰らなきゃなって思っていて。そのタイミングでこの学校のことを知ったんです」

 

 

全国各地から農家の跡取りが集まる専門学校。
全寮制という環境で過ごした2年間が黒木さんの意識を変えた。

 

「種苗屋さんが運営しているので色々な作物を作れるんですよ。それが面白かったんですよね。農業に、というよりも“植物”に興味を持つきっかけになりました。食べ物はこうやって自分で増やせるんだなって。」

 

“農家の息子”という自分と同じような環境で育った仲間との出会いも大きかった。

 

「彼らとはいろんな話をしましたね。農家そのものを見直すきっかけをたくさんもらいました。で、僕、“へべス”ってみんな当たり前に知っていると思ったんですよ。でもみんな知らない。“何?それ”って。その時に初めて“へべス”は宮崎県ならではの在来種なんだなって知ったんです。」

 

宮崎県ならではの柑橘“へべス”
そこにピンッときた黒木さんは早速地元に戻り、就農。24歳の時だった。

 

しかし、そこで待っていたのは厳しい現実だった。
おじいちゃんの代から続いてきたへべスの栽培はほぼ“放置状態”

 

経営の立て直しに加え、畑環境の立て直し。
さらに、へべスを取り巻く状況は市全体でも厳しいものだった。

 

へべスは儲からない。だから生産者も少ない。日向市全体にそんなイメージが漂っていたんです。だから、やってやろうと決めました

 

 


◆へべスを発信せよ!たった一人の挑戦!

みなさんは宮崎県の特産品である“へべス”をご存知だろうか。

 

 

へべスは日向市が発祥の地。
栄養価がとても高く、必須アミノ酸9種類のうち8種も含まれている上、
抗酸化作用の強い栄養素“ナツダイダイン”がゆずの37倍も含まれているという
アラサーの味方!(∩´∀`)∩
アンチエイジングにも嬉しい柑橘なのだ(*’ω’*)

 

 

ほんのりとした甘みに爽やかな酸味を持つへべス様々な食材との相性が良く
黒木さんの経営する古民家カフェ「森みち」ではユニークなへべス料理を楽しめる。

 

 

「微生物がたくさんいる土、肥料をたっぷり蓄えることが出来る土を作って、根っこから栄養をぐんぐん吸ってもらえるようにする。そして、葉っぱに思う存分光合成をしてもらう。植物が元気だと、健康な実が出来るんです」

 

日夜、試行錯誤を繰り返し、よりよい環境を作る。
へべスにかける情熱は計り知れない。

 

しかし!
“へべス”は担い手不足による収穫量の減少により、
将来、“へべス”そのものが無くなってしまうのではないかという危機に面している。
発祥の地である日向市ではおよそ80人が栽培。
その内26~40歳までの生産者の割合はわずか4パーセントなのである。

 

「へべス全体の生産量がだいたい150~200トン。
全国展開するためには500トン以上は必要なんです

 

“へべス”をなんとか知ってもらいたい。
黒木さんのたった一人の挑戦が始まった。

 

宮崎市内の直売所でのPRをはじめ、
県内でイベントがある時にはカキ氷用のシロップをへべスで作って販売するなど
出来ることからチャレンジしていった。

 

「宮崎市内でも“へべス”って知らないんですよ。“え?それカボス?”ってよく聞かれました(笑)」

 

地道な活動を続けていく中で、大きなターニングポイントが訪れる。

 

 

「実は地元に戻ってきてからずっと地域活動をしていたんです。蛍の養殖とか、地元のお祭りやイベントの手伝いとかしていく中で、たまたま東京・吉祥寺の飲食店の方とご縁を頂いて。吉祥寺でへべスブームを仕掛けよう!という話になって。本当に、どんなことがご縁になるのかわからないですよね」

 

そうして始まった、吉祥寺のへべスジャック
ハモニカ横丁を中心に各飲食店がへべスサワーやへべスハイボール、へべスジュレなど“へべス”を使ったメニューを展開するというものだ。

 

“へべス”という名前の珍しさとその美味しさによって瞬く間に人気が広がり
各マスコミにも取り上げられるほどの盛り上がりを見せた。

 

「去年はカフェのオープンに農作業、それに東京への出張と、自分でも何しているのかわからなくなるほど忙しかったです(笑)」

 

 

現在、日向市のへべスを取り扱っている店舗は
吉祥寺を中心に三鷹・荻窪エリアも含めて50店舗。

 

“へべス”は大きな可能性がある。
黒木さんの確かな自信になったようだ。

 

 

その2に続く...)

 

 

 

☆黒木洋人さんの近況はここでチェック☆
http://superyasaijin.com/
(取材・撮影・文 名越涼子)

 

◆名越紹介(プロフィール)
名越涼子(なごし・りょうこ)
フリーアナウンサー。香港出身。
福井、愛知のテレビ局のアナウンサーを経て独立。
幼い頃見た田んぼの美しさに感動し“農”に興味を持ち始める。
農作業着ファッションショーや農業団体の発信媒体を手掛けるなど
独自の切り口で“農”を発信。
他、メディア出演や講師業、コラム執筆など多方面で精力的に活動中。