野菜と漢方のドリンクスタンドに、銀座で田んぼ?!
次々と繰り出すユニークな発想は一体どこから?“日本のマルシェの仕掛け人”銀座農園を緊急リポート!

 

 

こんにちは~♪フリーアナウンサーの名越涼子です。
自他ともに認める健康オタクの名越が思わずうなってしまったお店があります。

去年11月、銀座一丁目にオープンしたばかりの 『FARMACY'S
実はここ、日本薬科大学と農業ベンチャー企業の銀座農園がオープンさせたドリンクスタンドなのです。

 

 

で、面白いのがここのテーマ。「野菜と漢方」なのです。
そう聞くと、温かい薬膳茶を想像しますよね??でもね、ソフトドリンクやカクテルといったお手軽な形でいただけちゃうんです!

今の時代、どちらも積極的にとろうとするとちょっと工夫が必要。
ましてや漢方ともなると風邪をひいた時の葛根湯か、薬膳鍋や薬膳茶くらい、ですよね?
こういったスタイルだとぐ~んと身近になりますね~♪嬉しい、嬉しい!

ちなみに名越がこの日注文したのはこちら↓

 

 

 

メニュー名:《頑張りたい人のためのFIRE
生おろし高麗人参&クコのショットドリンクでございます!
ごめんなさい・・ハードな健康オタクなもので、果物や野菜と合わせたものか悩んだ末、がっつり漢方メニューをチョイスしてしまいました。

 

さて・・味はと言うと・・・
良薬口に苦しと言いますが・・・苦くない!飲みやすい!美味しい!
ハードな健康オタクとしては「ゔぐはぁ!」って100年の恋も冷めちゃうような声が出るにっがにがのでも良かったんだけど予想外の美味しさに驚き。
漢方はちょっとハードルが高い・・・と思っているあなたにぜひ飲んでいただきたい!

 

こんな素敵、かつユニークなカフェをオープンさせてしまった方こそ、今回の主人公・銀座農園。
農業ベンチャー企業って一体どんなことをしているの?どんな未来を見据えているの??
最新情報をリポートします♪

 

■銀座に田んぼがあってもいいじゃない

2009年、高級ブランドやデパートが立ち並ぶ東京・銀座に突如田んぼが現れた。

 

 

 

都会のど真ん中にまさかの田んぼ。
2度見どころか3度見しても「え?ウソでしょ?なんでやねん!」と思わず一人ツッコミしてしまいそうなほどのギャップだ。
このユニークな仕掛けに大勢の人たちが詰めかけメディアでも取り上げられるなど話題となった。

 

―――銀座に水田とは!(笑)ユニークなアイデアを実現されましたね。

「ビルの建て替えの合間の1年間限定で苗植えから収穫までしました。110㎡の周りをスクリーンで囲って田舎の原風景を感じられるようにして・・・臨場感を演出しました」

そう話すのは銀座農園の代表取締役・飯村一樹さんだ。

 

 

「田舎に行ってもなかなか農家さんに相手にしてもらえなくて。何かを仕掛けないと、と思っていたところたまたま銀座に土地を見つけたんです」

 

――――そこからどうやって田んぼにしたんですか?

「全国各地の米農家さんを調べて、1100人に電話しました。一口2万5千円で88人の方が投資してくれたんです。出資したら米農家さんも現場に観に来てくれるじゃないですか。そこで初めて対等に話せたんですよね」

 

流しそうめん大会などプロジェクトから派生したイベントなども開催された。
田んぼをきっかけとして地域のコミュニティが生まれたのだ。こうして銀座田んぼプロジェクトは大成功で幕を閉じた。

 

農産物を作って売るだけが農業じゃない。様々な可能性を感じたプロジェクトでした

 

都会に暮らしている私たちだからこそ土や泥にまみれる時間って必要だと思う。泥ってヌメヌメするなぁ。生温かいなぁ。そんな当たり前の感覚を味わう時間。日常に忙殺されて置いてけぼりにしてしまっている″大事な当たり前″を思い出させてくれるのも、農業の魅力なんだと思う。

 

■OLが泥つきネギを持って山手線に乗る時代が来た

 

2007年に設立された銀座農園。
主に企業の農業参入の支援やマルシェの運営などを行っている農業ベンチャー企業だ。

 

「都市と田舎を結びつけること。“銀座”そのものがブランド化されているように、農業もブランド化させること。そんな意味を込めて、銀座農園という社名にしました」

 

都市と地方を結びつけるものの一つが“マルシェ”である。
日本のマルシェの先駆け・有楽町にある交通会館マルシェを手掛けた人こそ飯村さんなのだ。

 

 

「交通会館に空いているスペースがあって。そこで毎日マルシェを始めたんです。いや~お客さんの反応は冷ややかでしたよ(笑)こんな都会で野菜売ってどうするのって」

 

”続けることが大事”と諦めなかった飯村さん。
2010年から始まったマルシェ事業の風向きが変わったのは、東日本大震災だった。

 

 

「2011年の4月1日から3日間、東京で一番目に復興フェアをしました。東北と周辺農家の米や野菜を販売したんですけど3日目には3時間で400万円売り上げて。メディアが来てニュース見た人が大勢来てくれて・・すごい反響でした」

 

その出来事をきっかけに都会で働く人たちの行動にも変化が見られるようになった。

 

「会社帰りにスーパーに寄っても夜遅いと野菜はしなびてる。じゃあ昼休みに交通会館のマルシェで買って新鮮な野菜を持ち帰ろうって。野菜が身近になったんでしょうか。泥付きのネギを山手線に乗って持ち帰るOLなんて今まで見たことなかったですよね(笑)

 

交通会館を起点とし、これまで40箇所以上でマルシェを開催してきた。
いわば、日本のマルシェの基盤を作ってきた飯村さん。

 

次は、マルシェアカデミーです

 

新しい計画が、早くも始まっていた。

 

ミッション:儲かる農家を輩出せよ!
〜顔が見えるじゃもう売れない〜

「フランスはマルシェが産業化されています。売り方が本当に上手い。あの世界観を作りたいんです。日本の農家も手品師のようにお客さんを楽しませる存在にならないとなって

 

 

今の時代、いきなり通販サイトを作っても売れない。まずはファンを作らないと。マルシェでコミュニケーションをとって、この人から買いたい!”って思ってもらう。これを繰り返してようやく通販サイトが生きてくるんです」

 

確かに、野菜の通販サイトはここ数年で急激に増えた。スーパーやデパートに行かずとも簡単に野菜が買えるし、農家さんまで自分で選べる時代。だからこそ、それを買うのには”明確な理由”があるのだ。

 

「マルシェって単なる野菜の売り買いじゃない。震災当時は被災者の現状を伝える場にもなった。これからAIが発達していく世の中で、人と触れ合うことの出来る貴重な場になっていくと思うんです」

 

マルシェから農業を元気にしていく。
そのための取り組みのひとつが“マルシェアカデミー”だと話す。

 

顔が見えるじゃもうお客さんは買ってくれない。接客、ディスプレーの仕方から精神的なことまで、農家自身がマルシェで闘えるように訓練します。データ化・数値化してわかったことやこれまで培ったノウハウを生かして、農家が儲かるようなシステムを作りたいんです

 

自分の作った自慢の農産物を、マルシェというコミュニケーションの場でどう伝えるのか。
売れる農家と売れない農家。どちらも想いは一緒なはずなのに、何が決定的に違うのか。
毎日マルシェを続けてきたからこそ見えることがたくさんある。

 

農業を革新的に変えためには農家の底力をあげないといけない。やるからには気合いを入れて、全力でやります!」

 

飯村さんの話に、いつの間にかわくわくと心が躍っていた。
“これまで無かったもの”を生み出していくには想像以上かつ圧倒的な熱量がいる。
そして何より、こうして周りをわくわくさせる力もなのだ。

 

 

 

銀座農園株式会社代表取締役 飯村一樹氏。
茨城県出身。地方都市の活性化に携わる中で農業の重要性に気付き、銀座農園を設立した。

 

銀座農園の情報はこちらをチェック☆
https://ginzafarm.co.jp/

 野菜と漢方のドリンクスタンド「FARMACY'S」☆
https://farmacys.jp/

 

 

(取材・文・・・・)

名越涼子(なごし・りょうこ)
フリーアナウンサー。香港出身。
福井、愛知のテレビ局のアナウンサーを経て独立。
幼い頃見た田んぼの美しさに感動し“農”に興味を持ち始める。
農作業着ファッションショーや農業団体の発信媒体を手掛けるなど
独自の切り口で“農”を発信。
他、メディア出演や講師業、コラム執筆など多方面で精力的に活動中。