自称“いちご親父”の農業男子!
挫折を繰り返した20代。ようやく掴んだ、農家という人生。
君は本気で生きてるか?いちごのように真っ赤に燃える農業男子が登場!
なかなか思うようにいかない時。
頑張っても結果がついてこない時。
その苦しいプロセスの中で私たちはある制限をかけてしまう。
これが自分の限界なのだと。
「この子は人生間違ったって思われてたと思う(笑)でもね、これ、植えた種を間違えてただけなんです」
そう言って笑う、農業男子。
「20代は全然上手くいかなくてずっと模索していました。でも、夢とか目標を見つけて本当に人生が変わりました」
今が駄目でも、ずっと駄目なわけじゃない。
「本気になったら自然と周りの人が助けてくれます。本気は伝わるんです」
たくさんの挫折の中でつかんだ、農家という選択。
自分の人生を生きる。
本気で生きる。
インタビューの始まりから、胸がキュンッとした。
◆農家にはなるな!
赤いTシャツに緑のズボン。赤いスニーカーに緑のキャップ姿で颯爽と現れた農業男子。
「こんにちは!いちご親父の倉野佳典です」
――――い、い、いちご“親父”ですか!?(笑)
「“王子”ってキャラでも無いですしね(笑)いちごは自分の娘だと思って育てているので“親父”です」
「いちごを売るってどういうことかなって考えた時、金太郎飴のようにどこから切っても同じじゃないといかんなって。だから新幹線もこの格好で乗ってます(笑)」
――――あ。ここも、ここも、いちごだ!
「そうなんです・・。いちごグッズマニアで。これはほんの一部ですけどね(笑)」
栽培も販売も、普段の生活までもいちご一色。
やるからには本気で。倉野さんの気合いが伝わってくる。
三重県伊勢市。生まれ育ったここで就農して今年で7年目になる。
倉野さんの活動はいちごの生産・販売にとどまらない。
地元のケーキ屋さんとコラボレーションし新たな“名物”を発信するほか、その活動などが評価され取材を受けたり講演したりと幅広い。
「生きるために必死だったところから、美味しくするにはどうしたらいいのか考えるようになって。今は次の段階。さぁ、これから何を仕掛けていこうかって」
そう爽やかに話す倉野さんだが、農家になるまでの道のりは決して順風満帆ではない。
「うち、実家が兼業農家なんですけど僕が農家になった時、土地が無かったんです(笑)小さい頃から農家になるなって言われて育って。だから父親がどんどん土地を人に貸していたんです」
「農家になろうだなんて思ってなかったですし、そもそも20代が全然上手くいかなくて。世の中生きていくのもう無理やなって。そう思っていました」
今の倉野さんからは想像もつかない言葉が飛び出した。
本気スイッチは、どこで押されたのだろうか。
◆本気は、伝わる
大学を卒業後、会社をいくつか経験した。
「どうやったら社会で成功出来るんだろうって必死でした。でも想いとは裏腹に成績が出せなくて。入りたかった会社で働いていたのに、ここにふさわしくないと思って辞めてしまって」
奨学金や自己投資資金でいつの間にか借金も膨らんでしまった。
「とにかく返さないといけないってがむしゃらでしたね。派遣会社で働いて貯金して、セールスの世界に飛び込んで。ここでようやく売り上げをあげることが出来たんです」
とにかく結果を出さなければならない。前しか見ていなかった。
「目標を達成するのに頑張りすぎちゃって自律神経失調症になっちゃったんです。それに商品が本当に良いのか分からないのに販売している自分も嫌になってしまって」
頑張るほどに、心がついていかない。
自分は一体、何者なのか、何になりたいのか。
思い悩んでいたある日。ふと、テレビ番組の農業特集が目にとまった。
「もしかしたら自分に出来るかもしれないってなんとなく感じたんです。自分で作った納得出来るものを届けたいって思いが強くなって」
「当然両親は大反対でした。そりゃそうですよね。20代それだけふらふらしていましたから(笑)」
“もう後がない。これが最後のチャンスだ。”
両親の反対を押し切って、農家になるべく研修に励んだ。
「そんな自分を見てくれていたのか、周りの農家さんが父親を説得してくれて。“息子がやるんだから畑を貸してやりなよ!”って言ってくれたんです」
腹を決めると自然と姿勢も、表情も、立ち居振る舞いも変わる。
農家さんを動かしたのは、まぎれもない倉野さんの“本気”だった。
◆チャレンジした人だけが知っている
“夢や目標を持って生きる”
倉野さんが講演中、伝えることだ。
「自分の人生がそれで大きく好転したように夢や目標を持って生きるって素敵だと思うんです。いちご農家のおっちゃんが授業することで何か夢の種を見つけてもらえれば」
試行錯誤を繰り返してきた20代があるからこそ語れるたくさんの物語。
挫折はチャレンジした人だけが得られる“糧”と言う名の人生の宝物だ。
「いちごを通して地域に貢献していきたい。もっと想いを伝えるために規模も大きくしていこうと考えています。」
「自分の目的は何なのか。使命は何なのか。この地でどう生きていきたいのか。常に自分に問うて成長していきたい」
自分で自分を超えていく。
倉野さんの静かなる情熱は、完熟したいちごくらい真っ赤に色づいている。
☆倉野さんの情報はこちらでチェック☆
https://www.facebook.com/イチゴオヤジ倉野佳典-194895187244484/
次回は未来の農業男子!
今、日本で一番勢いがある?!学生農業団体のトップを直撃!
間違いなく、これからの農業を先導するであろう希望溢れる大学生が登場♪お楽しみに~♪
(取材・文・撮影・イラスト 名越涼子)
名越涼子(なごし・りょうこ)
フリーアナウンサー。香港出身。
福井、愛知のテレビ局のアナウンサーを経て独立。
幼い頃見た田んぼの美しさに感動し“農”に興味を持ち始める。
農作業着ファッションショーや農業団体の発信媒体を手掛けるなど
独自の切り口で“農”を発信。
他、メディア出演や講師業、コラム執筆など多方面で精力的に活動中。