「農業の教育化」と聞くと、
ぱっと浮かぶ絵は、学校に農家さんが赴いて、美味しい野菜のつくりかた、いかに野菜が体に良いかなどを、黒板の前で子供たちに説く姿ではないでしょうか。
私たち、FARM PARK PROJECTは、
今の時代、農はもとより、土にさえ触れることがなくなってしまった「大人たち」こそ、
農から学ぶこと、得られることがたくさんあると考えています。
昔、とある取材で、東京の会社を辞め、山梨に移り住み、家を建て自給自足をする、とある男性のご自宅を訪問したことがあります。
その方は、地元の木材で作った木造の家に、大きな蒔ストーブを入れ、外には畑をつくり、近くの牧場で働いてらっしゃいました。
その方がおっしゃっていたことが、いまでも私の心に残っています。
「皆さん気づいてないので、改めて考えて欲しいのですが、日常生活の中で、特に都会において、『無心で手や体を動かす機会』というものは、趣味を除いてないに等しいんです。
田舎でこうして暮らしてみて、まざまざと気づかされるのですが、『無心になって手や体を動かす』ということがどれだけストレスを軽減してくれるか。
薪を焚べる、畑を耕す、野菜を収穫する、乳を絞る。そうした自然と無心になって手を使うこと、それがどれだけ心を穏やかにしてくれるか。
なにも都会を出ましょうという話ではなく、スマホをいじる、PCと向き合う、そんな目や頭をたくさん使う時間を、ほんの少しでいいから、たとえば農業や土いじりの時間に当てて、頭を空っぽにして、手を動かす時間にあてる。それだけで、いろんなものが見えてくる。楽になる。毎日が楽しくなる。
嘘だと思ってやってみて欲しいんです。大人こそ、農から学ぶものがたくさんあるんです。」
私はこのプロジェクトを始めるときにこの言葉を改めて思い出しました。
農の教育化。
大人たちが、楽に楽しく生きられる世の中を目指して。
そして、農業=生産ではなく、さまざまな価値を人に与えてくれる農にもっと興味を持ってもらえるように。
農が与える多くの体験価値を「伝える」。
農の教育化ではそんな取り組みをたくさん増やしていきます。